特定技能「鉄道分野」が新設!

― 対象業務と受入れ企業の要件を行政書士が解説 ―

令和6年、特定技能制度の対象分野に「鉄道分野」が新たに追加されました。慢性的な人手不足が続く鉄道業界では、保守・整備を担う技術者だけでなく、駅業務や乗務員など幅広い職種で人材確保が課題となっています。

今回は、特定技能「鉄道分野」の対象業務や外国人本人の条件、受入れ企業が満たすべき要件について、最新の基準をもとに分かりやすく解説します。


なぜ鉄道分野が特定技能の対象になったのか

鉄道業界では、少子高齢化による人手不足や、設備の維持・更新を担う技術者の確保が深刻な課題です。特に地方の鉄道事業者では、保守や整備に従事する人材の国内採用が年々難しくなっています。こうした背景から、政府は特定技能制度の対象分野に鉄道を追加し、即戦力となる外国人材の受入れを開始しました。


特定技能「鉄道分野」で従事できる5つの業務区分

鉄道分野では、次の5つの業務区分が定められています。

① 軌道整備: 線路や分岐器などの新設・改良・保守・点検を行う業務。

② 電気設備整備: 架線、変電・信号・踏切・通信設備などの設置・保守・点検業務。

③ 車両整備: 鉄道車両の点検、修理、部品交換などの業務。

④ 車両製造: 鉄道車両や部品の製造・組立・加工などを行う業務。

⑤ 運輸係員: 駅係員、車掌、運転士などの業務。

⚠️ 【重要】運転士業務の注意点 運輸係員には「運転士業務」が含まれますが、実際に列車を運転するには、特定技能の試験とは別に、日本の国家資格である「動力車操縦者運転免許」の取得が必須です。採用してすぐに一人で運転できるわけではない点に注意が必要です。


外国人本人に求められる要件(技能・日本語)

特定技能1号として働くためには、原則として「技能試験」と「日本語試験」の双方に合格する必要がありますが、業務区分によって基準が異なります。

  • 技能試験: 「鉄道分野特定技能評価試験」の各区分に対応する試験に合格すること。
  • 日本語能力:
    • 一般区分(①〜④): 日本語能力試験「N4以上」または国際交流基金日本語基礎テスト合格(A2.2相当以上)
    • 運輸係員区分(⑤): 日本語能力試験「N3以上」(B1相当以上)


💡 技能実習2号からの「試験免除」ルートの注意点

特定の「技能実習2号」を良好に修了した外国人は試験が免除されますが、区分ごとに取り扱いが異なります。

  • 免除ルートがある区分: 「軌道整備」「車両整備」「車両製造」
  • 免除ルートがない区分: 「運輸係員」(駅務や車掌、運転士は技能実習からの免除ルートがなく、必ず技能試験と日本語試験(N3以上)の合格が必要です)

※なお、軌道整備や車両整備の鉄道特有の技能実習区分は近年新設されたばかりであるため、現時点で実務上の修了生(母数)はまだ非常に少ないのが実態です。


受入れ企業が満たすべき要件

外国人を受け入れる企業側にも、鉄道分野特有の要件が課されます。

  • 鉄道事業者、または鉄道施設・車両の整備や製造を行う事業者であること
  • 国土交通省が設置する「鉄道分野特定技能協議会」の構成員となること(入国後4か月以内の入会が必要)
  • 協議会や国土交通省が実施する調査・指導に協力すること


行政書士として感じること

鉄道分野の追加は人手不足に悩む企業様にとって大きな好機ですが、乗客の命を預かる業界ゆえに、安全管理や高い日本語レベル(運輸係員はN3以上)など、他分野以上に慎重な体制整備が求められます。

実務上も「自社の業務がどの区分に該当するか」「運輸係員採用の手順は」といった具体的な相談が増えています。制度を有効活用するためには、設立・採用前の段階から専門家へ相談し、確実な受入れスキームを検討することをおすすめします。


まとめ

  1. 5つの業務区分があり、運輸係員の「運転士」には別途国内の運転免許が必要。
  2. 運輸係員は他区分より高い「日本語試験N3以上」が必須。
  3. 技能実習からの免除移行は、軌道・車両整備等にはあるが、運輸係員にはない。
  4. 受入れ企業は「鉄道分野特定技能協議会」への加入などの義務がある。

当事務所では、特定技能の在留資格申請から受入れ体制の整備まで一貫してサポートしております。鉄道分野での外国人採用をご検討の企業様は、お気軽にご相談ください。

※本記事は掲載日時点の法令・制度および公表情報に基づいて作成しています。法改正や運用変更等により内容が変更される場合があります。具体的な手続については、最新の法令・出入国在留管理庁の公表情報をご確認いただくか、当事務所等の専門家へご相談ください。