外国人を採用したら企業が必ず提出すべき届出一覧

― ハローワーク・入管・社会保険の手続きを行政書士が分かりやすく解説 ―

外国人を雇用する企業が急速に増えています。現場でよくあるのが、「在留カードを確認して問題なかったから一安心」と、その後の手続きを失念してしまうケースです。

外国人を雇った場合、日本人と同様の雇用保険・社会保険手続きだけでなく、外国人雇用特有の届出が法律で義務付けられています。これらを怠ると、知らぬ間に行政指導の対象となり、企業の信用を大きく損なうリスクがあります。

今回は、人事担当者が絶対に押さえておくべき主要な届出について、実務のポイントを交えて整理しました。


外国人採用後に必要な主な届出一覧

まずは全体像を掴みましょう。漏れがないかチェックリストとしてご活用ください。

手続き提出先対象外国人
外国人雇用状況届出ハローワーク原則すべての外国人(特別永住者を除く)
雇用保険資格取得届ハローワーク週20時間以上など加入要件を満たす場合
健康保険・厚生年金保険資格取得届年金事務所法人の規定など加入要件を満たす場合
税務関係の手続き税務署・市区町村給与を支払うすべての労働者
制度に応じた各種届出・報告出入国在留管理庁特定技能や育成就労など、該当する制度の場合


① 外国人雇用状況届出(ハローワーク)

外国人を雇用・離職させた場合、事業主にはハローワークへの「外国人雇用状況届出」が法律で義務付けられています

対象は、アルバイトを含むすべての外国人(特別永住者、外交・公用を除く)です。雇用保険に加入する場合は「雇用保険資格取得届」と同時に行い、加入しない場合(週20時間未満の留学生など)は、翌月10日までに単独で届け出ます。

在留カード番号の記載ミスなどが多いため、必ず現物を確認しながら正確に入力しましょう。


② 雇用保険・社会保険の加入手続き

「外国人だから社会保険は不要」という例外はありません。日本人と全く同じ加入要件が適用されます。

  • 雇用保険: 週20時間以上の勤務、かつ31日以上の雇用見込み
  • 健康保険・厚生年金: 常時5人以上の個人事業所、または法人で、正社員の4分の3以上の週労働時間・日数

外国人本人が「手取りを増やしたい」「将来帰国するから」と加入を拒むケースが散見されますが、要件を満たしていれば加入は企業の強制義務です。法令違反にならないよう、採用時に制度をしっかり説明することが実務上とても重要です。

③ 出入国在留管理庁(入管)への届出

「外国人を雇ったら、一律で入管に採用届を出すべきか?」というと、実はそうではありません。

― 特定技能・育成就労制度の場合 ―

「特定技能」や、2027年4月1日に施行される「育成就労制度」で外国人を受け入れる場合、企業側には入管への定期的な報告や随時の届出(受入体制の変更など)が厳格に義務付けられています。

― 一般の就労ビザ(技術・人文知識・国際業務など)の場合 ―

いわゆる「技人国」などの一般的な就労ビザでは、労働施策総合推進法に基づくハローワークへの届出を行っていれば、企業が重ねて入管に直接、採用届を出す必要はありません(入管法上の努力義務とハローワーク届出による連携のため)。

⚠️ 見落としがちな盲点:外国人「本人」の義務
企業側に届出不要であっても、転職してきた外国人、すなわち本人側には、入管へ14日以内に「所属機関の変更」を届け出る義務(違反時は罰則あり)があります。これを忘れると本人の次回のビザ更新に響くため、会社側からも「入管へ変更届は出した?」と声をかけてあげるのが親切です。


④ 税務関係の手続き

給与支払いに伴う税務も、日本人と同様に進めます。 「給与所得者の扶養控除等申告書」の提出を受け、源泉所得税の徴収や年末調整、市区町村への住民税の手続きを行います。

ただし、母国の家族を扶養に入れている場合は「親族関係書類」や「送金記録」の提出が必要です。また、国によっては「租税条約」の免除規定が適用できる場合もあるため、事前に確認しておくとスムーズです。


― 在留カードの確認だけでは不十分な理由 ―

外国人採用の第一歩は在留カードの確認ですが、単に「カードを持っているか」だけでは不十分です。

  • 業務内容が、その外国人の持つ「在留資格」の範囲内か
  • アルバイト(留学生など)の場合、「資格外活動許可」があり、週28時間以内におさまっているか

これらを怠り、在留資格の範囲外の仕事をさせると、企業側が「不法就労助長罪」に問われるリスクがあります。「知らなかった」では済まされないため、慎重な確認が必要です。


まとめ

外国人の採用後は、ハローワーク、年金事務所、税務署、そして在留資格のルールに応じた入管への目配りと、多方面への目配りが必要です。

手続きの漏れや判断ミスは、のちに重大なコンプライアンス違反を招きかねません。自社での判断に少しでも不安がある場合は、ぜひ外国人雇用の実務に精通した当事務所へお気軽にご相談ください。丁寧に伴走いたします。

※本記事は2026年7月時点の出入国在留管理庁、厚生労働省等の公表情報に基づいて作成しています。最新の制度運用については各行政機関の公表資料をご確認いただくか、専門家へご相談ください。