特定技能に新たな3分野が追加 リネンサプライ・物流倉庫・資源循環の最新動向
はじめに
外国人材の受入れ制度として定着した「特定技能制度」が、さらに対象分野を広げようとしています。
令和7年3月11日に閣議決定された特定技能・育成就労の分野別運用方針において、「リネンサプライ」「物流倉庫」「資源循環」の3分野が新たに位置づけられました。その後、令和8年1月23日の閣議決定でこの分野別運用方針が改めて決定し直され、3分野は引き続き対象として維持されています。これにより、特定技能の対象分野は、これまで受入れが行われてきた16分野に加え、合計19分野へと広がりました。
ただし、「今すぐ外国人を受け入れられる」という状況ではありません。分野別運用方針では、この3分野について「省令等の準備が整い次第受入れが可能となる」と明記されており、正式な受入れ(在留資格認定証明書交付申請の受付開始)はまだ発表されていません。分野ごとに制度整備の進み具合も異なるため、企業は公式情報を確認しながら準備を進めることが重要です。
対象となる業務
①リネンサプライ分野
分野別運用方針では、業務区分を「リネンサプライ」とし、従事する業務は「リネン類の入荷から出荷までの一連の業務」と定められています。ホテルや病院、福祉施設などで使用されるシーツ・タオル・ユニフォームなどについて、仕分け・洗濯・仕上げ・検品・出荷準備までの工程が想定されており、使用資材の運搬や清掃など関連業務に付随的に従事することも認められています。
3分野の中では、リネンサプライ分野の制度整備が最も進んでいます。入管庁の発表によれば、令和8年4月には分野省令の一部改正と上乗せ基準告示(ビルクリーニング分野・リネンサプライ分野)が公表され、同年6月にはリネンサプライ分野の運用要領別冊も制定されました。ただし、これらはあくまで受入れの土台となる規則の整備であり、正式な受入れ開始(申請受付開始)のアナウンスは現時点で確認できていません。
②物流倉庫分野
業務区分は「物流倉庫」とされ、従事する業務は「倉庫内で行われる貨物の入出庫、保管その他の倉庫内各種作業」と定められています。EC市場の拡大に伴い保管需要が増加している物流倉庫において、入出庫・保管・仕分け・ピッキング・梱包といった庫内作業が対象となる見込みです。事務所への連絡・報告や作業場所の清掃など、関連業務への付随的な従事も認められています。
物流倉庫分野は、リネンサプライ分野と比べると省令等の整備がまだ進んでおらず、受入れ開始の具体的な時期は公表されていません。
③資源循環分野
業務区分は「廃棄物処分業(中間処理)」とされ、従事する業務は「家庭からの排出及び事業活動に伴って排出される廃棄物の中間処理(廃棄物の減量化・減容化・安定化及び安全化)を行う業務」と定められています。廃棄物処理施設における選別・破砕・焼却等の設備操作といった業務が想定されており、循環型社会の実現に向けて重要性が高まる一方、担い手不足が深刻な業界でもあります。
資源循環分野についても、物流倉庫分野と同様に省令等の整備は進行中であり、受入れ開始時期は未定です。
受入れ企業が押さえておきたいポイント
現時点で、正式に受入れが開始されている(在留資格認定証明書交付申請を提出できる)のは、既存の16分野のみです。リネンサプライ・物流倉庫・資源循環の3分野は、分野別運用方針の中で対象分野として位置づけられたにとどまり、省令や上乗せ基準告示、技能評価試験などの整備が完了して初めて、実際の受入れ(申請受付)が始まります。3分野の中ではリネンサプライ分野が最も準備が進んでいるものの、申請受付開始の正式発表は確認されていません。
将来的にこれらの分野で受入れが始まった場合には、特定技能雇用契約の締結、日本人と同等以上の報酬の確保、支援計画の作成・実施、分野別協議会への加入など、既存の特定技能制度と同様の要件を満たす必要があります。
今から準備しておくことが大切
「制度が始まってから考えればよい」と構えていると、いざ受入れが解禁された際に採用競争で出遅れてしまう可能性があります。
まずは自社の業務がこれらの分野の対象となり得るかを確認し、受入れ後の配置計画や教育体制、生活支援の方法などを整理しておくことをおすすめします。また、就業規則や雇用契約書の見直し、登録支援機関との連携についても、早めに検討しておくと安心です。
制度はまだ整備の途上にありますが、人手不足が続く業界にとっては将来的に大きな選択肢となる可能性があります。当事務所でも、入管庁の発表など制度改正の最新情報を継続的に確認しながら、受入れ準備から在留資格申請までサポートしております。正式な受入れ開始の発表を見落とさないよう、今のうちから準備を進めておくことをおすすめします。
※本記事は掲載日時点の法令・制度および公表情報に基づいて作成しています。法改正や運用変更等により内容が変更される場合があります。具体的な手続については、最新の法令・出入国在留管理庁の公表情報をご確認いただくか、当事務所等の専門家へご相談ください。

