外国人社員が育児休業から復職できなくなったらビザはどうなる?
はじめに
育児休業を取得する外国人社員は年々増えています。 しかし実際には、
・保育園が見つからない
・家族の事情で働けない
・子どもの体調不良が続く
などの理由から、予定どおりに復職できないケースも珍しくありません。
このようなとき、「在留資格の更新はできるのだろうか」「このまま日本に住み続けられるのかな」と不安になる方も多いのではないでしょうか。 今回は、育児休業のあとで復職が難しくなってしまった場合の、ビザへの影響や実務上のポイントを分かりやすく解説します。
■ 育児休業中だからといって、すぐに問題になるわけではありません
まずお伝えしたいのは、育児休業を取っていること自体が、直ちにビザの審査でマイナスになるわけではないということです。 育児休業は法律で定められた立派な制度ですので、日本人か外国人かを問わず、誰でも安心して利用することができます。
就労ビザ(技術・人文知識・国際業務など)をお持ちの場合、会社の仕事を正当な理由なく3ヶ月以上行っていないと在留資格の取消対象になるというルールがありますが、出産や育児休業はこの「正当な理由」にあたると解されています。実務上も、適法に育休を取っている期間中にビザが取り消されるようなことは基本的にはありませんので、まずはご安心ください。
■ 大切なのは「今後の見通し」
就労ビザでは、今後どのように日本で活動していくのかという見通しがとても重視されます。 もし復職が遅れていても、
・いずれ復職する予定がはっきりしている
・会社との雇用関係がそのまま続いている
という状態であれば、ビザの更新時期が来ても、入管にしっかりと事情を説明することで許可をもらえる可能性が十分にあります。
一方で、
・復職の見込みが全く立っていない
・近いうちに退職する予定がある
・すでに雇用契約が終わっている
といった場合には、少し慎重に動く必要があります。
■ 保育園が決まらずに育休を延長するケース
最近特に増えているのが、保育園の空きがなくて育児休業を延長せざるを得ないケースです。 この場合も、会社に籍があり、将来的に復職する前提であれば、それだけでビザが出なくなるわけではありません。
ただし、延長している最中にビザの更新期限が来てしまう場合は、休業が長引いている事情をしっかり証明しなければなりません。入管への手続きをスムーズに進めるためにも、自治体から届いた「保育園の保留通知書(不承諾通知書)」や、会社が発行してくれた「育児休業期間変更承認書」などの書類をあらかじめ手元に準備しておくと安心です。
■ 復職できずに退職することになった場合
育休のあとで復職が難しくなり、そのまま会社を辞めることになった場合は、ガラリと状況が変わります。 「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザは、あくまでその会社で働くことを前提に国から認められているものだからです。退職した後は、次のような対応を早めに進める必要があります。
- 転職活動をする
すぐに次の職場を見つけて働く場合です。ただし、育児に追われて長期間まったく求職活動ができない状態が続いてしまうと、就労ビザの取消リスクや更新の不許可リスクが出てくるため注意が必要です。 - 別のビザへの変更を考える
「しばらくは仕事を休んで育児に専念したい」という場合、就労ビザなどを持っている配偶者がいれば、その扶養に入る「家族滞在」ビザなどへ切り替える方法が現実的です。 (※独身の場合や、パートナーのビザの種類によっては「家族滞在」を選べないこともありますので、個別の確認が必要です)
■ 更新申請では、事情を丁寧に伝えることがカギ
復職できていない状態でビザの更新を迎える場合、入管は一律の判断ではなく、個人の事情を一つひとつチェックします。
そのため、
・なぜ育休を延長しているのか、今の状況はどうなのか
・これから先、どのようなスケジュールで復職(あるいは転職・ビザ変更)を考えているのか
・現在の会社との契約はどうなっているのか
といった点を、理由書や裏付けとなる書類できちんと整理して伝えることが何より大切です。状況によって、入管に響く説明の仕方も変わってきます。
■ まとめ
育児休業のあとで予定通りに復職できなくなったからといって、いきなり日本にいられなくなるわけではありません。 ただ、「会社との関係が続いているか」「復職のめどがついているか」、そして「更新のときにどれだけ説得力のある説明ができるか」によって、入管の判断は大きく左右されます。
特にビザの期限が迫っている場合や、やむを得ず退職を考えている場合は、ひとりで悩まずに早めに専門家へ相談されることをおすすめします。
当事務所では、外国人を雇用する企業の方や、育休中でビザの更新を控えている外国人社員の方からのご相談・申請サポートを承っております。「育休を延長しているけれど、もうすぐビザが切れてしまう」「復職できるか分からなくて不安」というときも、どうぞお気軽にご相談ください。
※本記事は掲載日時点の法令・制度および公表情報に基づいて作成しています。法改正や運用変更等により内容が変更される場合があります。具体的な手続については、最新の法令・出入国在留管理庁の公表情報をご確認いただくか、当事務所等の専門家へご相談ください。
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