【2027年4月施行予定】育成就労制度の最新動向と「企業が今からやるべき準備」

受入れ上限123万人・新3分野の追加で何が変わる?〜

はじめに:施行まで「あと10か月」

外国人材の活用をご検討中の企業のご担当者から、最近もっとも多くいただくご質問が「育成就労制度って結局、自社にとって何が変わるのですか?」というものです。

2027年4月1日、現行の技能実習制度に代わる新制度「育成就労制度」が始まります。これに合わせて、特定技能制度の受入れ上限も大きく見直され、特定技能1号と育成就労を合わせて2028年度末までに約123万人規模を受け入れる方針が、2026年1月23日に閣議決定されました(出入国在留管理庁公表)。

本記事では、ニュースの数字だけを並べるのではなく、「自社にとって何が変わり、いつまでに何を準備すれば良いのか」という実務目線で、最新動向を整理します。


1.押さえるべき3つの最新動向

① 受入れ上限「123万人」の中身

2026年1月23日の閣議決定により、2028年度末までの5年間の受入れ見込数(=上限)は次のとおりとなりました(出入国在留管理庁)。

  • 特定技能1号:80万5,700人(19分野)
  • 育成就労:42万6,200人(17分野)
  • 合計:約123万1,900人

なお出入国在留管理庁のQ&Aでは「この123万人は、現在の在留者数に加えて受け入れる数ではなく、在留者数の総計の見込数」と明確に注意喚起されています(誤解が広がっている点なので要注意)。

② 新たに3分野が追加

特定技能・育成就労の対象分野に、新たに「リネンサプライ」「物流倉庫」「資源循環」の3分野の追加が検討されている。これにより特定技能は19分野、育成就労は17分野(航空・自動車運送業を除く)へ拡大されます。

新3分野は、業界として人材不足が深刻でありながら、これまで特定技能の対象外だった領域です。施行は省令等の整備が整い次第となります。

③ 育成就労は「技能実習の延長」ではない

ここが見落とされがちな最重要ポイントです。育成就労は、技能実習を発展的に解消して新設される別制度であり、目的そのものが「国際貢献」から「人材育成+人材確保」に転換されます。

そのため、

  • 本人意向による転籍が一定要件下で可能(技能実習では原則不可)
  • 特定技能1号への移行を前提とした制度設計(3年で技能・日本語要件を満たすことを目標)
  • 監理団体は「監理支援機関」に名称変更し、許可基準も厳格化(外部監査人の設置、債務超過の禁止、常勤役職員2名以上 等)
  • など、企業側に求められる対応が大きく変わります。


2.受入れ企業の「今すべき準備」カレンダー

施行は2027年4月1日ですが、実は2026年中に動いておくべき手続きが既に始まっています。当事務所へのご相談でも、ここを見落として後手に回るケースが目立ちます。

時期受入れ企業がやるべきこと
〜2026年9月制度全体像の把握/自社の受入れ分野・人数の方針決定
2026年9月1日〜育成就労計画の認定の「施行日前申請」開始
〜2026年12月監理支援機関(旧監理団体)の選定/社内体制(育成就労責任者・指導員・生活相談員)の整備
〜2027年3月雇用契約書・賃金テーブルの見直し、就業規則・寮の整備、日本語教育計画の策定
2027年4月1日制度施行・育成就労外国人の受入れ開始

特に、監理支援機関として改めて許可等が必要となる方向で制度設計が進められているため、既存の監理団体と取引している企業様も、その監理団体が監理支援機関の許可を取得できるかを早めに確認してください。


3.「育成就労」と「特定技能1号」、自社に合うのはどっち?

実は、ご相談の現場で最も多い悩みが「どちらの制度を使うべきか」です。簡単な判断軸をまとめます。

  • 未経験人材を3年かけて育てたい → 育成就労(入国時の技能要件なし、日本語A1相当のみ)
  • 即戦力をできるだけ早く確保したい → 特定技能1号(技能試験・日本語試験N4以上に合格済みの人材)
  • 海外子会社の社員を3年で日本に呼びたい → 単独型育成就労または今後、見直しが議論されている企業内転勤制度

「育成就労 → 特定技能1号 → (特定技能2号)」というキャリアパスが今後の主流になります。最長で5年(育成就労3年+特定技能1号で再起算)以上の長期戦力を見据えるなら、育成就労からのスタートが理にかなっています。


4.よくあるご質問

Q1. 既に技能実習生を受け入れています。2027年4月以降はどうなりますか? A. 2027年4月1日時点で来日中の技能実習生は、原則として認定された計画に基づき技能実習を継続できます。1号→2号→3号への移行も一定要件で可能です。ただし新規の技能実習生受入れは2027年4月以降できなくなるため、今後は育成就労にスライドすることが前提となります。

Q2. 育成就労は「どこの国からでも」受け入れ可能ですか? A. いいえ。二国間取決め(MOC)を締結した国からのみ受け入れ可能となる方針です。締結状況は外国人技能実習機構のホームページで順次公開されます。

Q3. 育成就労外国人を「派遣形態」で雇用できますか? A. 原則不可です。農業・漁業の季節性業務に限り、派遣元と派遣先が共同で育成就労計画を作成することで例外的に認められます。


まとめ:施行前の「準備格差」が、外国人材獲得競争を分ける

施行までの約10か月間で、企業がやるべきことは少なくありません。

  • 制度の正確な理解
  • 受入れ分野・人数の方針決定
  • 監理支援機関の選定
  • 賃金・就業規則・寮・日本語教育の整備
  • 既存の技能実習生がいる場合の経過措置対応

これらを後回しにすると、2027年4月以降、必要な人材を必要なタイミングで確保できなくなるリスクがあります。

当事務所では、育成就労・特定技能・企業内転勤など複数の在留資格を横断的に比較し、御社にとって最適な人材戦略をご提案しています。「自社の分野は受入れ可能か」「監理支援機関の選定基準」「コスト試算」など、具体的なご相談を随時お受けしています。