「日本に住んでいない期間」は永住申請にどう影響する?

― 出張・海外赴任で意外と多い誤解 ―

はじめに

永住許可申請のご相談を受けていると、意外によく聞かれる質問があります。 それは、

「海外出張が多いのですが、永住申請できますか?」

というものです。

最近では、海外赴任、長期出張、リモートワーク、母国での親の介護、出産や育児のための一時帰国など、日本と海外を行き来しながら生活している外国人の方も少なくありません。

そのため、「日本には10年以上住んでいるけれど、毎年かなり海外に行っている」というケースも増えています。

今回は、永住申請における「出国期間」について、実務上の明確な基準とよくある誤解を整理してみたいと思います。


「10年住んでいれば大丈夫」とは限らない

永住許可申請について調べると、「原則として10年以上継続して日本に住んでいること」という説明を目にすることがあります。もちろんこれは非常に重要な要件です。

しかし実際の審査では、単純な年数だけでなく、「継続して日本に生活の本拠があるか」が厳しく確認されます。

そのため、日本に在留する資格をトータルで10年以上持っていたとしても、海外滞在の期間や頻度によっては、「在留の継続性が途切れた(カウントがリセットされた)」とみなされる可能性があります。


審査の目安となる「出国日数」の具体的な基準

実務上、在留の継続性が認められるかどうかには、目安となる具体的な「日数の基準」が存在します。一般的に、以下のいずれかに該当すると、生活の本拠が日本から離れたと判断され、それまでの在留年数がリセットされてしまう可能性が高くなります。

  • 1回の出国が「90日」以上の場合
  • 1年間(通算)の出国日数が「150日〜180日」以上の場合

ご自身の出入国履歴を振り返り、この基準を超えている期間がある場合は、単に「10年」という期間を満たしているだけでは許可を得るのが難しくなります。


出張と海外赴任は同じではない

実務上よくある誤解が、「仕事(会社命令)なのだから期間が長くても問題ないですよね」という考え方です。

確かに、数日〜数週間程度の短期出張や、年に数回の海外業務であれば、年間通算の日数が前述の基準を超えない限り、大きな問題にはなりません。

一方で、以下のようなケースでは慎重な確認が必要です。

  • 数か月単位の長期海外滞在
  • 海外赴任(現地法人への出向・転籍など)

特に海外赴任に伴い、日本の住民票を抜いた(海外転出した)場合や、日本側での給与支払いが止まり、納税・社会保険の履歴が途絶えてしまった場合は、原則としてそれまでの在留期間のカウントはリセットされます。たとえ「会社の業務命令」という正当な理由があっても、入管の審査基準が自動的に免除されるわけではありません。


親の介護や家族事情による帰国もリセットのリスクがある

最近増えているのが、母国にいる親の介護や、出産・育児などの家族事情による長期帰国です。 実際の相談でも、

「母親が病気になり、看病のために半年間帰国していた」 「父親の介護のために、何度も長期間の帰国を繰り返している」

というケースが多々あります。

これらは人道的にやむを得ない事情であり、決して珍しいものではありません。しかし、入管の永住審査においては、「どれだけ同情すべき理由があっても、一定日数(1回90日、年間計150〜180日)を超えて出国していれば、原則として在留年数はリセットされる」という厳しい現実があります。

事情を説明する理由書を提出することで考慮される余地はありますが、日数の超過がある場合は、基本的には日本に戻ってきてから改めて在留実績を積み上げ直す前提で計画を立てる必要があります。


私が相談現場で感じること

永住申請は、単に在留年数を機械的に計算する手続きではありません。 実際には、

  • 日本でどのような生活をしてきたのか(居住実態)
  • どのような仕事をし、どこに納税しているのか(連続性)
  • 家族との関係や将来の生活設計

なども含めて総合的に判断されます。

そのため、「海外にいた期間が少しでもあるから絶対に無理」というわけではありませんが、逆に「10年在留資格があるから必ず許可される」というものでもありません。

特に近年は、グローバルに往来する働き方やライフスタイルが増えています。だからこそ、表面的な数字だけでなく、ご自身の「生活の本拠がどこにあったのか」を客観的な書類(課税証明書や出入国記録など)とともに整理することが重要だと感じています。


永住申請前に確認したいポイント

永住申請を検討している方は、まず次のような点を確認してみることをおすすめします。

  • 過去数年間の正確な出入国履歴(1回の長さに加え、年間の通算日数)
  • 長期出国があった場合の「住民票」や「税金・社会保険」の断絶の有無
  • 海外赴任時の給与の支払われ方や在籍実態
  • 日本での現在の居住実態

意外と、「自分では出張が多いだけだと思っていたが、日数を正確に合算してみたら説明やリカバリーが必要な期間があった」というケースは少なくありません。


まとめ

永住申請では、単に日本に何年住んでいるかだけでなく、「継続して日本を生活の本拠としていたか」が厳しく問われます。

海外出張や海外赴任、家族の事情などで出国期間がある場合でも、直ちに永住申請を諦める必要はありません。しかし、長期間の海外滞在がある場合には、基準となる日数や税歴の連続性を事前に正しく整理し、現在の在留資格のまま申請すべきか、時期をずらすべきかを見極めることが大切です。


永住許可申請のご相談について

当事務所では、

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などの国際法務・ビザ手続きに関するご相談を承っております。

特に、「海外出張や海外赴任が多く、日数の基準に不安がある」「過去の長期出国が審査にどう影響するか知りたい」というご相談は非常に多く、個々の実態に合わせた最適なアプローチをご提案しております。

永住申請は、ご本人のこれまでの生活状況によって判断ポイントが大きく異なります。少しでも不安な点がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。