「更新できると思っていたのに…」

技人国ビザ更新で最近増えている“追加資料”とは?

はじめに

「前回は問題なくスムーズに許可されたのに、今回は入国管理局から追加資料の提出を求められた」

最近、技術・人文知識・国際業務(いわゆる“技人国ビザ”)の在留期間更新申請において、このような「追加資料提出通知書」に関するご相談が急増しています。

もちろん、「追加資料=不許可」というわけではありません。しかし近年の審査実務においては、出入国在留管理庁(入管)が、以前よりも慎重に企業の雇用実態や本人の業務内容を確認しているのは確実です。特に「形式上は専門職としての採用だが、実態は単純労働の繰り返しになっていないか」という点が厳しくチェックされる傾向にあります。

今回は、最近増えている追加資料の傾向と、企業が講じるべき対策について実務目線で整理します。


追加資料が来やすい4つのケース

更新申請において、比較的入管からの追加確認が入りやすい代表的なケースは以下の4つです。

① 転職後、初めての更新申請

最も追加資料のリスクが高いのがこのケースです。 転職時に「就労資格証明書」を取得していない場合、この更新申請のタイミングで、転職先の職務内容や学歴との関連性がゼロから厳しく審査されます。「営業職」として採用したものの実際は店舗での接客が中心になっていないか、「マーケティング」名目だが実態は配送や現場作業が中心になっていないかなど、実際の業務範囲について詳細な説明を求められることがあります。

② 雇用契約書や理由書の業務内容が抽象的

書面上の記載が「幅広い業務に従事」「会社運営全般のサポート」「現場対応および管理」など、曖昧な表現になっているケースです。 技人国ビザの本質は“専門的・技術的知識を要する業務”であることです。そのため最近では、1週間の業務スケジュールの提出や、各業務の従事割合(パーセンテージ)、具体的な作業内容について、誰が見ても専門職であると納得できる客観的な説明を求められるケースが目立ちます。

③ 給与水準が低い・不自然な控除がある

入管の上陸許可基準では「日本人と同等額以上の報酬を受けること」が定められています。 周辺の日本人社員や同業他社と比較して極端に給与が低い場合や、昇給実績が全くない場合、また給与明細から不自然な名目で控除がされている場合などは、追加の説明や非課税証明書・納税証明書の提出を求められます。「実際の専門業務の内容と、支払われている給与額が見合っているか」という実態が見られている印象です。

④ 小規模企業または設立間もないベンチャー企業

会社の規模や設立年数だけで不許可になるわけではありません。 しかし、「本当にこの外国人を継続雇用できる安定性があるのか」「新設された部署で、本当にその専門業務が恒常的に存在するのか」を確認するため、会社案内や直近の決算書だけでなく、主要先との取引契約書、売上詳細、オフィスのレイアウト図・組織図などの提出を求められるケースが多くあります。



「追加資料=不許可」ではない

ここで誤解してはならないのは、追加資料通知が届いたからといって、決して絶望する必要はないということです。入管側が「審査を慎重に進めるため、書類の不足や表現の曖昧な部分を補足してほしい」と考えているケースが大半だからです。

説明不足だった点を丁寧な理由書で補い、求められた証明書類を適切に提出することで、問題なく許可が下りるケースは数多くあります。

ただし、「とりあえず適当に書類を揃えて出せばいいだろう」という安易な対応は禁物です。追加資料として提出した回答内容は、入管のデータベースに永年記録され、将来の更新や永住申請の審査にも直結します。整合性の取れない回答をしてしまうと、一転して不許可リスクが高まるため注意が必要です。


審査のトレンドは「実務実態の確認」

以前の更新審査であれば、学歴証明書、雇用契約書、会社の決算書といった「形式的な書類」の整合性が取れていれば比較的スムーズに許可される傾向がありました。しかし現在は、より一歩踏み込んだ「現場の実態」が重視されています。

  • 実際の勤務場所はどこか(本社か、店舗や工場か)
  • 社内で誰が指導・監督を行っているのか
  • 業務中に日本語をどの程度、どのような場面で使用しているか
  • 全体の勤務時間のうち、接客や現場作業が占める比率は何%か

このように、技人国ビザの資格外となる「単純労働」を実質的にさせていないかどうかが、現在の審査において最も注視されているポイントの一つと言えます。


企業の人事・総務担当者が今やるべきこと

業務内容を“専門職の視点”で棚卸しする 「営業」「企画」「管理」という大雑把な括りではなく、「何を分析し」「何を企画・提案し」「大学や専門学校で学んだどの知識を活かしているのか」まで、第三者に説明できるように言語化しておきます。

雇用契約書や労働条件通知書の記載を見直す 実務上、何でも会社都合で手伝わせられるようにと業務範囲を広すぎる表現にしているケースが目立ちます。実態に即しつつ、在留資格の範囲内に収まるよう書面を適正化(必要に応じて雇用契約の巻き直しなど)しておくことがリスク低減に繋がります。

「更新前チェック」を社内で仕組み化する 異動、昇給・減給、職務内容の変更などがあっても、現場レベルで処理され、経営層や人事総務が更新直前まで把握していないケースが少なくありません。定期的に在留資格との整合性をセルフチェックする体制が重要です。


まとめ: “更新だから簡単”とは限らない時代へ

これからの技人国ビザ更新は、「前回通ったから今回も大丈夫」という一筋縄ではいかないケースが増えていくと予想されます。日常の雇用管理の段階から、在留資格との整合性を意識しておくことが、将来の雇用リスクを回避する唯一の手段です。


技人国ビザ更新・追加資料対応のご相談について

当事務所では、外国人雇用を強力にバックアップするため、以下の実務サポートを行っております。

  • 技人国ビザ更新前の「不許可リスク診断」
  • 入管から届いた「追加資料提出通知」への一括対応・理由書作成
  • 実態に即した「業務内容の棚卸し・言語化サポート」
  • 外国人雇用に特化した「雇用契約書・労働条件通知書レビュー」

「追加資料が届いたが、入管の意図がわからずどう回答すべきか迷っている」「次の更新で不許可になるリスクを事前に潰しておきたい」という企業様は、どうぞお気軽にご相談ください。貴社の状況に合わせた最適な対応策をご提案いたします。