帰化したら在留カードはどうなる?

― 返納手続とその後の流れを解説 ―

無事に帰化が許可されると、いよいよ日本国籍を取得し、日本人としての新たな生活がスタートします。 当事務所でも、帰化が許可されたお客様から、

「これまでの在留カードはどうすればいいの?」 「記念に持っておくことはできる?」 「ほかにどんな手続きが必要になる?」

といったご質問をよくいただきます。 念願の帰化を果たした後に慌てることがないよう、今回は在留カードの取扱いと、その後に待ち受ける大切な手続きについて、実務の視点から分かりやすく解説します。


帰化すると、在留カードは「失効」します

これまで日本での身分証明書として肌身離さず持っていた在留カードですが、帰化によって日本国籍を取得した瞬間から、その効力を失います。

在留カードはあくまで「日本に在留する外国人」に対して交付されるものだからです。帰化後は日本人となりますので、たとえ有効期限が残っていたとしても、身分証明書として使うことはできなくなります。


在留カードは、14日以内に返納が必要です

効力を失った在留カードは、そのまま自宅に保管しておくことは認められておらず、国への返納義務があります。

期限は、カードが失効した日(=帰化の許可が官報に告示された日)から14日以内です。出入国在留管理庁長官宛てに返納しなければなりません。

返納方法は、お近くの入管(地方出入国在留管理官署)の窓口へ直接持参するほか、郵送での返納も認められています。

なお、郵送の際はカード本体だけでなく、帰化を証明する書類(法務局から交付される書類のコピーや、官報の該当ページの写しなど)を同封するのが実務上の正確な手順です。「もう使えないから」と引き出しに眠らせてしまわないよう、期限内に速やかに手続きを済ませましょう。


市区町村役場への「帰化届」もお忘れなく

帰化が許可された後は、法務局での国籍証明書の交付を経て、速やかに市区町村役場へ出向く必要があります。ここで「帰化届」という届出を行います。

この手続きには法律上の期限があり、「帰化の許可の告示があった日から1カ月以内」に提出しなければならないと定められています(戸籍法第102条の2)。

この帰化届を提出することによって、あなただけの新しい「日本の戸籍」が作られ、日本人としての身分関係が公に登録されます。帰化が許可されたからといって、役所の手続きが自動的にすべて切り替わるわけではありません。ここが一念発起の踏ん張りどころです。


日本のパスポートは、戸籍ができてから申請します

「日本国籍になったから、すぐに日本のパスポートで海外へ行ける」と思われるかもしれませんが、これも自動的には発行されません。

前述の「帰化届」を提出し、新しい戸籍が実際に出来上がった後(役所の混雑状況にもよりますが、数日から1〜2週間ほどかかります)、初めて旅券窓口で日本のパスポートを申請できるようになります。

帰化の直後に海外渡航や出張の予定を立てている方は、戸籍の作成やパスポートの発給にかかる日数(さらに1週間〜10日程度)をあらかじめ見越して、スケジュールに余裕を持っておくことが大切です。


実務でよく見かける「3つの誤解」

帰化された方からよく伺う、代表的な勘違いをご紹介します。

  • 「永住者だったから、在留カードはそのまま持っていてもいいのでは?」 ⇒ 永住者であっても例外ではありません。日本国籍を取得した以上、返納の義務が生じます。
  • 「苦労して取得した大切な思い出だから、記念に持っておきたい」 ⇒ お気持ちは痛いほど分かりますが、法律上の義務ですので必ず返納してください。
  • 「帰化したら、すべての行政手続きが自動で日本人仕様に変わると思っていた」 ⇒ 在留カードの返納、帰化届、マイナンバーカードの変更など、一つひとつ手動で進める必要があります。

いずれも悪気のない誤解ですが、手続きを放置すると過料(ペナルティ)の対象になるケースもありますので、確実に進めていきましょう。


まとめ

念願の帰化が許可されることは、外国人としての生活が終わりを迎えるとともに、日本人としての新しい人生のスタートを意味します。

  1. 在留カードの返納(告示日から14日以内)
  2. 市区町村への帰化届の提出(告示日から1カ月以内)
  3. 新しい戸籍の完成を待つ
  4. 日本のパスポートの申請・取得

このように、許可が下りた後もしばらくは期限のある重要な手続きが続きます。

「許可の通知をもらって一安心」と一息つきたいところですが、ここでの書類集めや役所回りを確実に行うことが、これからの日本での生活の基盤を作ることになります。

当事務所では、帰化申請の手続きそのものはもちろん、無事に許可が下りた後の各種行政手続きの進め方についても、きめ細かくサポートを継続しております。帰化後の手続きについて少しでも不安な点や、「次は何をすればいい?」という疑問がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

※本記事は掲載日時点の法令・制度および公表情報に基づいて作成しています。法改正や運用変更等により内容が変更される場合があります。具体的な手続については、最新の法令・出入国在留管理庁の公表情報をご確認いただくか、当事務所等の専門家へご相談ください。